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多景島周辺の岩礁湖岸で9人で採集したヤマトカワニナ(チクブカワニナ)です。
この型は琵琶湖の竹生島・多景島・沖の白石の周辺にしか分布しないため、
必然的に生息地公開になってしまい、隠せないので例外として書きました。
これまでヤマトカワニナやヤマトカワニナ肋型は、湖岸で何度も見ましたが、
こんな大きな顆粒は、離島でしか見られませんね。何だか螺髪ぽく見えました。

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多景島周辺産。9人が潜れば、この数になりますが、ヤマトカワニナのように、
1つの岩にたくさん付いている、というような状態ではなかったです。
浅いところにはおらず、だいたい水深1.5m以下で、ぽつぽつと見られました。

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沖の白石周辺産。多景島周辺産よりも顆粒が顕著に感じました。
水の中に顔を突っ込んで探しても、1つも見つけられない状態でした。
確り潜らないといませんでした。沖の白石周辺をS先生が調査されたときは、
川のような湖流があったそうで、とても危険な状態だったそうです。
我々は運よく湖流が弱かったですが、念のため命綱を持って行きました。

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左が沖の白石周辺産で、右が多景島周辺産です。顆粒が微妙に肋化しています。
あえて言えばチクブカワニナ肋型です。「びわ湖の底生動物」など文献に、
モリカワニナは決まって、竹生島と多景島の周辺に分布すると記されています。
しかし、多景島周辺産のモリカワニナは、図鑑などで写真も見たことがありません。
我々はモリカワニナを時間も使って、結構探しましたが、貝殻すらない状態でした。
S先生らも水深10m近くまで調べたようですが、見つからなかったそうです。
文献はこのチクブカワニナ肋型と誤同定したのか、絶滅したのか、元からいないのか、
現状は多景島周辺にモリカワニナはいません。そうなると竹生島だけかと言うと、
S先生によると、そうでもないようです。とにかく、モリカワニナもまた狙います。

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沖の白石周辺産です。塩茹で2分。爪楊枝で掘り出しました。胎殻を出して口に入れる。
胎殻が少し残っていて、バリッジャリ。歯応えは弾力がやや強く、味はよくない。
だんだん苦味が強くなって、ニガーッとなって来た。結論として不味いっ。

9人で分けたときに、チクブカワニナをたくさんもらえたのですが、
カワニナ用(本当はギバチ用)水槽に入りきらず、適当に120cm水槽に放り込みました。
たぶん底が砂なので、2週間くらいすると、餓死するのではないかと思います…。


追記 2023年4月21日
当時はヤマトカワニナ(チクブカワニナ)で良かったのですが、
現在はコンペイトウカワニナだと思います。

コメント一覧

ハシ メール - 2010/07/31 (土) 01:12 edit

こんばんは、過去記事を少しずつ見て勉強させてもらっていますが、カワニナって食べれるんですね(驚)近所にカワニナがたくさんいるのですがほとんどの種類が琵琶湖等にいるとしって驚きました。譲って頂きたいですが、採取したい気持ちもあります(夢)

Tommy - 2010/07/31 (土) 01:13 edit

こんばんは.シリーズ記事へのコメントが遅くなってしまい申し訳ありません.先週の琵琶湖沖紀行では大変お世話になり,ありがとうございました.

記事,沖の白石から読ませていただきました.この採集にこぎつけるまでにこれほどの紆余曲折と精神的なダメージがあったことを初めて知り,そのことをおおっぴらにせず,招いてくださったことに感謝いたします.世の中にはいろいろな人がいますし,考えもいろいろだと思いますが,特に沖の白石に関しては危険極まりない場所だったということなのでしょう.今回,私たちが足を運ぶことができ,しかも危険ながらも非常によいコンディションで採集できたことは,西村さんやuさんの努力に強運が重なったおかげでしょうね.本当によかったです.沖島に行きかけたときは悠長な対応ですみませんでした…(笑).

さて,カワニナ類,素晴らしかったですねぇ.見た目的なインパクトはチクブが一番でした.かっこよすぎる!!例によって各種お送りしましたが,「大仏の頭みたい!!」と興奮気味のコメントをいただきました.私も持ち帰ってからじっくり観察し,沖の白石産と多景島産で違いがあるのに気づき,興味深いなぁと思っていました.白石の方が縦肋の数が少なく粒が大きいようですね.手元に残したカワニナたちは,軟体部はDNA分析にも使える形で標本に,殻は洗浄後乾燥させ標本にしました.乾燥させると殻表面の状態がよく分かり,「あぁ,なるほど」という感じですね!!

残りの記事も楽しみにしています.長文失礼しました.

ペイル メール URL - 2010/07/31 (土) 16:24 edit

コメントが遅くなって申し訳ありません。
先日はお疲れ様でした。

私的には他のカワニナもとても感動的でしたが、もっともかっこいいと思ったのはこのチクブカワニナです。
ゴツゴツ感、そして重量感は他のカワニナを圧倒していると思います。

多くの諸問題があり精神的に厳しい状況である中、お誘い頂きありがとうございました。
とても楽しかったです。

それでは、失礼します。

西村 メール - 2010/08/01 (日) 00:08 edit

コメントありがとうございます。

ハシさん。カワニナは食べられません(爆)。ナカセコカワニナのように、
毒に近いくらい苦いものがあるため、食べないほうが良いと思います…。
カワニナ類は全21種類が知られていますが、そのうち琵琶湖淀川水系以外にいるのは、
カワニナ、チリメンカワニナ、クロダカワニナのたった3種類だけなんです。
いつでもお譲りしますよ。死なない前にご連絡下さいね(汗)。

Tommyさん。こちらこそです。Tommyさんやuさんのように、潜ることに長けた人がいたから、
こうしたちょっと危険な計画も、何とかなるかもと思えたので、とても感謝しています。
もちろん3人でそれが達成できるわけではなく、この結果はみなさんの力だと思っています。
沖の白石は、危険な場所であることは間違いないと思いますが、凪で運が良かったですね。
大仏の頭みたい。もう一人のuさんも、喜ばれたようで良かったですね。
次回はと言えないところが、沖の白石の人を寄せ付けない、すごいところだと思います。
貴重な標本になると思います。ほとんどやっていることが貝の研究者ですね。
それから多景島の入島料を払いそびれて申し訳ないです。また来週あたりには必ず。

ペイルさん。チクブカワニナがヤマトカワニナの型とされるのであれば、
他のハベ系はみんな型のような気がします。チクブのインパクトは最高ですね。
色々ありましたが、良い経験が出来たと思って、今は前向きに捉えています。
モリカワニナが捕れたら、ようやく紀伊半島です。またよろしくね~。

shin - 2010/08/01 (日) 17:46 edit

はじめまして。
いつも興味深く読ませて頂いてます。

以前よりチクブカワニナに見惚れてまして、今回書き込ませて頂きました。
ほんと良いですよね。

出来る事なら、うちのイワトコナマズの水槽に導入してみたいです。
それでは失礼しました。

Tsuka URL - 2010/08/01 (日) 21:34 edit

昨晩、メールをさせて頂きました。
半年ほど前から、拝見させていただいています。

一年ほど前から、標本作製を目的に貝を採集しています。
当初は、海産の貝のみに興味を持っていましたが、陸水産の貝にも非常に多くの種類が存在し、
種の分類に関してもまだまだ発展途上であることを知り、非常に興味を持つようになりました。

そんな時に、この記事を読み、この機会に譲っていただければと思い、コメント致しました。
また、昨晩のメールでは色々と説明不足な点があり、申し訳ありませんでした。
詳しくは、頂いたメールに返信いたしました。

西村 メール - 2010/08/02 (月) 01:22 edit

コメントありがとうございます。

shinさん。チクブカワニナは種ではないため、琵琶湖湖岸で比較的よくいる、
ヤマトカワニナやヤマトカワニナ肋型も、飼育には向いていると思いますので、
よかったらお試し下さい。

Tsukaさん。私はこの記事に、チクブカワニナを無償で譲ると書いたのですが、
120cm水槽の個体は約7割が、既に死んでいたため、提供が難しくなりました。
そのためその一文は削除しました。また、私が条件や詳細を何も書かずに、
タダであげるよ。みたいに受け取られてしまって、軽率だったと反省しております。

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