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長野県上伊那地域で採集したヌマエビ北部-中部グループの一型(未同定)です。
ヌマエビ北部-中部グループは9型です。卵無し、頭胸甲上棘数0、額角上縁棘数16前後。
これだけの情報では同定が出来ません。長野県上伊那地域は遺伝的報告がありません。
但し、採集場所は天竜川水系上流域で、下流域の集団は東海型とされています。
同一水系なため同じかというと、天竜川は上流域と下流域で魚類相が大きく異なります。
ヌマエビ属は魚類と同じ水生生物でもあり、同一水系からだけで東海型とは判断できません。

2014年5月に「日本の淡水性エビ・カニ」が発行されました。
写真は生態と標本の両方を載せ、特徴を捉え、珍しい離島の固有種も多数。素晴らしい。
内容はやや専門的で、普通の人(私も)が読むと、頭に疑問符が浮かぶかもしれません。
それでも、サワガニ科の充実、カワリヌマエビ属の一種(外来生物)にも触れていて、
この一冊でエビカニのことを、全て知った気にさせてくれる、良い図鑑です。

残念なのは、ヌマエビとヌカエビのことは、ちょっとすっきりさせすぎな気がしました。
また、ミゾレヌマエビの写真4枚のうち、1枚はこの本で言うヌマエビだと思います。
それ以外に脱字など細かなところはありますが、お前が言うなと言われそうなので(笑)。

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この本では、タイワンオオヒライソガニの分布として、三重県と記されています。
あれっ?と思いました。三重県での分布は、このブログの記事でしか報告が無いはず。
参考文献も確認しましたが、載っていないぞ。この分布情報の出典が知りたくなりました。
ちなみに、タイワンオオヒライソガニは、三重県で2006年7月23日に採集した個体です。

某先生に著者T氏のメールを教えて頂き、確認したら、私の記事を参考にしたと認めました。
参考文献は膨大になり、本のページ数の関係から、分布の文献までは掲載できなかったと。
事後だけど理解と了解して欲しいと。唖然としました。これ私は了解するべきですか?
ポケット図鑑は参考文献が膨大になる場合、主要文献のみ載せるという慣例があることも、
理解していますし、参考文献を載せないものが、一部にあることも知っています。

仮に三重県初記録として、私が報文準備中だった場合、この本に記されていると、
レフェリーから指摘された場合に、新知見として載せることが、出来ない恐れもあります。
(三重県はこのブログで既報ですが、それも加えて未報告の別の県でも確認しています)
これまで日淡ネタでは、紙媒体にいくつも出典を載せず、パクられています。
あまりに多いので、「著作権 Webサイトと書籍」という見解を載せているほどです。

私がネットで発信した新知見が、紙媒体に出典を載せずにパクられ、
その後に私の方が、紙媒体からパクったように誤解され、迷惑することもあります。
こちらは無償でパクられ損です。本は有償です。原典の私にたまたまバレたので、
事後了解して欲しいと言う前に、このブログはメールを載せ、コメント欄もあるため、
参考文献には載せないわけですから、連絡する必要が、あったように思います。
これは分布情報の確さを調べ、本の信頼度を高めることにも、繋がると思います。
また、第二著者S氏は私と面識があり、その繋がりで連絡することも、可能だったはずです。
ちなみに、3月発行で同出版社の淡水魚識別図鑑には、参考ウエブサイトとして、
日淡会が載せてありました。それだけで済むのに、なぜその一行が出来ないのだろう。

裏を返せば、私のブログのような小さな情報も収集され、検討されていることからも、
熱くて濃いものを感じます。この本は写真だけでも買う価値は、十分にあると思います。
今後に淡水性エビカニの同定は、バイブルとして使わせて頂こうと思っているほどです。
それだけに、つまらないことで、愚痴らせないでほしいです(笑)。